卵は結局健康に良いのか悪いのか。メタ分析のエビデンスに基づき考察してみた

卵は結局健康に良いのか悪いのか。メタ分析のエビデンスに基づき考察してみた

どうも、科学が好きなだいち(@spountant)です。

津川友介著の「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」では、科学的根拠にもとづいて健康に良い食事と悪い食事が紹介されている。

関連記事:本当に為になる内容だった「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」のネタバレです | 津川友介著

そこでは「卵は1週間に6個まで」という主張があった。

しかし一方で「パレオな男」という、こちらも科学的根拠にもとづいた健康情報を発信しているブログがあるのだが、そこでは「卵を1日3個くらい食べるのがいいのではないか」という主張がある。

どちらもとても信頼できる方なので優劣をつけられず、「結局卵は健康に良いの?悪いの?」という疑問が生まれた。

そこで自分で卵に関する論文を調べて、自身の結論を出してみることにした。

 

卵は健康に良いのか悪いのか?先行研究を確認する

「究極の食事」で紹介されている16個の前向きコホート研究をまとめたメタ分析(R1)によると、卵と健康の関係では以下のような結果が得られた。

  • 卵の摂取量と、心筋梗塞や脳卒中、およびこれらによる死亡との間には有意な関係は認められなかった。
  • 卵を1日1個以上食べるグループは、1週間に1個未満しか食べないグループに比べると、糖尿病を発症するリスクが42%高かった。

また21,327人を対象とした前向きコホート研究(R2)では、以下のように結論づけられている。

  • 卵を1週間に1個未満しか食べない人たちと比べて、卵を1日1個食べる人たちでは28%、1日2個以上食べる人たちでは64%、心不全(心臓のポンプ機能が正常に動作しなくなる症状)を起こすリスクが高い。
  • 卵の摂取量が1週間に6個までであれば心不全のリスクは上昇していなかった。

「パレオな男」のエビデンスをもとにした以下の記事では、卵を1日3個食べることはコレステロールを改善するとされている。

参考記事:卵は1日3個食べたほうがコレステロールの機能が良くなるみたいよ

 

ここまでで出てきた卵と健康についてまとめてみると以下のようになる。

  • 卵を1日1個以上食べると、糖尿病のリスクが高まる
  • 卵を1週間に6個以上食べると、心不全のリスクが高まる
  • 卵を1日3個食べると、コレステロールを改善する

これだけでは、卵とどう向き合えばいいのかがまだ分からなかったので、さらに追加で先行研究を調べてみることにした。

 

「卵」と「脳卒中や心筋梗塞(心血管疾患)」に関するエビデンス

卵にはたくさんのコレステロールが含まれているが、19個のランダム化比較試験をまとめたメタ分析(R3)によると、食事性コレステロールは脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患のリスクを高めないことが明らかになった。

「究極の食事」で紹介されていた16個の前向きコホート研究をまとめたメタ分析(R1)でも、卵を食べることによって生じる悪玉コレステロールの不利な効果は、同様に生じる善玉コレステロールの有利な効果によってかき消されることが書かれている。

結論、卵を食べても心血管疾患のリスクは高くならないことは、強い信頼性をもって主張できそうだ。

 

「卵」と「糖尿病」に関するエビデンス

「究極の食事」で紹介されていたメタ分析(R1)では、卵を1日1個以上食べるグループは、ほとんど食べないグループに比べて、糖尿病のリスクが高かった。

また12個のコホート研究を統合したメタ分析(R4)では、卵を食べる量と糖尿病のリスクとのあいだには関係がないが、米国の研究に限って調査すると1週間に3個以上食べると糖尿病のリスクが高まることが明らかになった。

卵は糖尿病のリスクとは関係ないという結論と、糖尿病のリスクを高めるという結論の2つが出ている。

ここから考えると、「卵の食べすぎは、少なからず糖尿病のリスクを高める可能性はあるのではないか」と考えたほうが妥当そうだ。

 

「卵」と「心不全」に関するエビデンス

「究極の食事」で紹介されていたメタ分析(R1)では、卵を1週間に6個以上食べるグループは、ほとんど食べないグループに比べて、心不全のリスクが高まったことが明らかになった。

また3つのコホート研究をまとめたメタ分析(R5)によると、卵の摂取量と心不全のリスクは関連があると結論づけられている。

以上から考えて、「卵を食べすぎると心不全のリスクが高まる」ということはかなり確からしいといえるだろう。

 

結論:卵を好きに食べます

上記の論文と、個人的な感想を鑑みた結果は以下のとおりだ。

  • 卵は心血管疾患のリスクを高めることはない
  • 卵はコレステロールを改善するかも
  • 卵は糖尿病のリスクを高めるかも
  • 卵は心不全のリスクを高める
  • 卵は栄養価が高い
  • 卵はおいしい

卵はたんぱく源として優秀で、栄養価が高いことから「スーパーフード」と呼ばれることもある。

以上を踏まえ、自分は糖尿病のリスクと心不全のリスクを考慮した上で、卵は好きに食べようと結論づけた。

栄養価が高いことと、何より「卵が好き」という気持ちが強いことが決め手だ。

論文の読み方をよく知りたい場合は、以下の記事が詳しいのでぜひ参考にしてみてほしい。

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