どうも、jMatsuzaki株式会社のだいち(@spountant)です。
弊社代表がフレデリック・ラルー著の「ティール組織」を読み始めてからというもの、本格的にティール組織の考え方を取り入れようとしている。
このページでは、ティール組織の内容をできるだけわかりやすいように要約して紹介していく。
目次
進化型(ティール)組織とは何か
ティール組織は、マズローの五段階欲求説の「自己実現の欲求」に相当する意識レベルを持った組織だ。
統制ではなく信頼に重きを置き、個々の”自分らしさ”を大事にする文化がある。
またティール組織はそれ自身の生命と方向感を持っていると見られている。
これらの特徴をより明確にするために、従来型の組織と比較して考えてみよう。
従来型の「達成型(オレンジ)組織」との比較
ティール組織が組織を「生命体」だととらえる一方、オレンジ組織は組織を「機械」ととらえる。
オレンジの世界観は物質的で、より多くのものを所有したほうが幸せだという価値感だ。
ティール組織では個人の使命も尊重されるが、オレンジ組織では個人的な感情は仮面の下に隠す必要があり、何より合理性を追求しなければならない。
人間関係よりも業務遂行がもっとも優先される組織といえるだろう。
本書のなかではオレンジ組織の典型的な例として、現代のグローバル企業が挙げられている。
従来型の「多元型(グリーン)組織」との比較
グリーン組織では組織を「家族」ととらえる。
仕事の成果よりも人間関係のほうが価値が高く、それがもっとも優先されるべき事項だ。
ティール組織の意思決定は、後述するように「セルフマネジメント」に基づくが、オレンジ組織では「トップダウン」、グリーン組織では「ボトムアップ」で意思決定がなされる。
グリーン組織では、さまざまに対立する見解をなるべく多く集め、最終的にはメンバーの総意に基く決断を目指す。
ただ従業員を家族と考えるグリーン組織とは違い、ティール組織のスタンスは以下のとおりだ。
ティール組織のリーダーは組織の中でだれの父親になろうとも思わないし、ましてや社員に配慮し、奉仕する父親になる気などない。
ティール組織の特徴
ではここからは具体的にティール組織が持つ特徴を見ていこう。
特筆すべき点は以下の3つだ。
- 自主経営(セルフマネジメント)
- 全体性(ホールネス)
- 存在目的
1.自主経営(セルフマネジメント)
ティール組織ではだれもが強い権限を持つが、だれがだれに対しても権力を行使できる立場にないという形態をとる。これが自主経営(セルフマネジメント)だ。
本書では、セルフマネジメントは「階層やコンセンサスに頼ることなく、仲間との関係性のなかで動くシステムである」と表現されている。
意思決定の方法は、オレンジ組織の階層によるトップダウンでもなく、グリーン組織の全員でのコンセンサスでもない。
とある解決案について信念に基づいて異議を唱える人がいなければ、現場の人が発したその案が採用されるのだ。
セルフマネジメントの考え方では、「人は基本的に優秀で、信頼できる」という性善説に立つので、従来型組織のような人をがんじがらめに縛るルールは存在しない。
現場のことは現場にいる人がいちばん詳しいということから、購買も自分たちで行うし、報酬も自分たちで決める。
セルフマネジメントの考え方が浸透すると、以下のようなメリットがある。
- 何重にも及ぶ承認を待つことなく変化を起こすことができる
- 個人の責任が大きくなるので、その分業務改善の余地が大きくなる
- 何よりも、仕事がとても楽しくなる
セルフマネジメントについては、以下の記事で詳しく紹介したので、興味があれば参考にしてほしい。
関連記事:ティール組織の自主経営(セルフマネジメント)とは?身につけるメリットを解説
2.全体性(ホールネス)
全体性(ホールネス)とは、分離を克服した状態のことを指す。
たとえば昨今では「ワークライフバランス」という言葉が流行っているが、これは「ワーク」と「ライフ」が分離した状態を前提とした言葉だろう。
ティール組織では、「ワーク」と「ライフ」は二項対立したものではなく、もっと複雑に融合したものとして扱うことができると考える。
また現代の組織の多くは達成型(オレンジ)組織に該当し、私情は持ち込まず、仕事に集中すべきだという考え方で運営されている。
ホールネスの考え方を持つティール組織では、仕事とプライベートを分離させず、だれもが本来の自分で職場に来ることができ、同僚・組織・社会との一体感をもてるような風土や慣行がある。
ホールネスの考え方を持つことができると、以下のような効果が表れるだろう。
- 自分らしさを失わず、職場に出かけることができる
- 豊かで、生き生きと、意味のある生活を送れるようになる
- かつてなかったほどの情熱と創造性が解放される
ホールネスに関しては、さらに詳細に解説した以下の記事があるので、興味があればご一読いただきたい。
関連記事:ティール組織の全体性(ホールネス)とは?身につけるメリットと方法を紹介
3.存在目的
ティール組織の比喩表現として「生命体」という言葉が使われているとおり、ティール組織は組織を生きたシステムと考える。
人間と同じように、組織も自らの情熱を持ち、自らが何者かを認識し、自らの創造性を発揮し、自らの方向感覚を持った独立した存在だととらえているのだ。
組織のメンバーは将来を予言し、統制しようとするのではなく、組織が将来どうなりたいのか、どのように目的を達成したいのかに耳を傾け、理解する場に招かれる。
組織が本当に自社の目的のために存在しているとき、競争は存在しない。
競合他社は、利益を奪い合う敵ではなく、同じ目的に向かう同志だと考えるのだ。
組織の存在目的に耳を傾けることによって、生き残るためでなく、存在目的を成し遂げるために行動できるようになる。
いいかえると、自分のエゴのためではなく、貢献のために選択をできるようになる。
巻末でティール組織の解説している嘉村賢州氏は、存在目的について以下のような説明を受けたようだ。
子供が生まれたとき、その子の人生をあなたが決めることはできませんよね。組織も一緒です。(中略)組織に寄り添い、組織が何のために生まれたのか?どこに向かおうとしているのか?これらを一緒に探求するということしか、あなたにはできないのです。
さらに存在目的を探求するのに役に立つ問いが3つ挙げられている。
- この組織は、この世界で何を実現したいのか?
- 世界はこの組織に何を望んでいるのか?
- この組織がなかったら、世界は何を失うのか?
存在目的について、さらに詳しく知りたい場合は以下の記事からどうぞ。
関連記事:ティール組織の存在目的とは何か。できるだけわかりやすく解説してみた
jMatsuzaki株式会社はティール組織である
弊社代表は本書を読んでいる最中、「これ俺らのことじゃん」と感じたとのこと。
これには自分も同意で、まさに弊社はティール組織の考え方に近い方法で運営されてきた。
今後はさらにティール組織のエッセンスを意識的に取り入れて、組織の新しいロールモデルになっていけたらと思う。