論文を読むための本「エビデンス・ベイスト・プラクティス入門」を読んだ感想まとめ【書評】

論文を読むための本「エビデンス・ベイスト・プラクティス入門」を読んだ感想まとめ【書評】

どうも、内向型フリーランスのだいち(@spountant)です。

論文を読めるようになって、論文ベースの情報発信をしていきたい」という思いが強くなってきたので、原田隆之氏著の「心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門」を手に取った。

本書は「パレオな男」管理人の鈴木氏がおすすめしていた本だ。

パレオな男の鈴木氏といえば、メンタリストDaiGoに対して論文を探して共有しているということで有名である。

そんな論文マニアの鈴木氏がおすすめする「エビデンス・ベイスト・プラクティス入門」を読んでみた感想を、このページではまとめていきたい。


心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門―エビデンスを「まなぶ」「つくる」「つかう」

「エビデンス・ベイスト・プラクティス入門」をおすすめしたい人

「エビデンス・ベイスト・プラクティス入門」はカウンセリングセッションを行う心理職向けに書かれた本だが、実際読んでみると、心理職であるかどうかにかかわらず、十分に論文を活用するための知識を得られる。

個人的に本書は以下のような人におすすめしたい。

  • 論文を読めるようになりたい
  • エビデンスベースの発信をしていきたい

 

原田隆之氏の「エビデンス・ベイスト・プラクティス入門」の概要

「エビデンス・ベイスト・プラクティス入門」は大きく4つのパートに分かれている。

  1. エビデンスをまなぶ
  2. エビデンスをつくる
  3. エビデンスをつかう
  4. エビデンスと心理療法

そして本書の中で特に為になった点は、「論文の質がわかるようになること」と、「エビデンスの具体的な活用方法がわかること」だったので、その2点について、以下で解説していく。

 

1. 論文の質がわかるようになった

本書を読んでよかったことの1つ目が、「この論文の質は高いかどうか」を判断できるようになったこと。

研究方法によってエビデンスのランクが決まり、エビデンスのランクによって論文の質が決まる。

以下は「エビデンスのヒエラルキー」として表されており、明確に上下関係が認められるものだ(レベル1がもっともランクが高く、レベル6がもっともランクが低いことを示す)。

  1. RCT(ランダム化比較試験)の系統的レビュー(メタアナリシス)
  2. 個々のRCT
  3. 準実験
  4. 観察研究(コホート研究、ケース・コントロール研究)
  5. 事例集積研究
  6. 専門家の意見(研究データの批判的吟味を欠いたもの)

研究手法の中でも、もっとも質の高いエビデンスを提供するのが、ランダム化比較試験(RCT)だ。

なので質の高い論文を扱いたい場合は、その論文の研究手法がランダム化比較試験によるものかどうかを確認すればいい。

逆に観察研究などによる論文は、そのエビデンスのランクが低いので、その点を留意しつつ読み進める必要がある。

 

2. エビデンスの使い方がわかるようになった

2つ目のよかった点は、実際にエビデンスをどう活用していけばいいのかがわかったことだ。

エビデンスをつかう際には、以下の4つのステップが必要であると述べられている。

  1. 臨床疑問を定式化する([PICO])
  2. それに答えることのできるエビデンスを検索する
  3. エビデンスを吟味する
  4. 当のクライエントにエビデンスを適用する

それぞれのステップについて詳しく見ていこう。

 

2-1. 臨床疑問を定式化する(PICO)

エビデンスをつかうには、まず自分自身が抱いている疑問を決まった形に落とし込むことが重要だとのこと。

なぜなら自分が抱えている疑問を定式化することによって、どのような論文を探せばいいかが明確になるからだ。

そして定式化をする際には「PICO」を用いるとよい。

  • P (participant):参加者「誰を対象として」
  • I (intervention):介入「どのような介入を」=独立変数
  • C (comparison):比較「何と比較したら」
  • O  (outcome):結果「何がどうなるか」

これを具体的に1つの論文に当てはめると以下のようになる。

  • P:少年院入院中の非行少年に対して
  • I:内観療法を行った場合
  • C:内観療法を行わなかった場合と比べて
  • O:1年後の再非行が減少するか

上記の具体例を見ると、どのような論文が必要かが一目でわかるだろう。

 

2-2. それに答えることのできるエビデンスを検索する

疑問を定式化したら、実際にエビデンスを検索していこう。

心理職向けにおすすめされているサイトは「コクラン共同計画」や、「Mindsガイドラインセンター」だ。

ただ自分は心理職ではないので、上記のサイトには読みたい論文がないかもしれないので、その場合は個人的に「Google Scholar」がおすすめ。

Google Scholar内にある論文の質は玉石混交だが、論文の質を見極められるのであれば、必要な論文を見つかられる可能性が高い。

 

2-3. エビデンスを吟味する

エビデンスを吟味する際にもっとも重要なことは、「その研究の内的妥当性が相当に高いかどうか」であると述べられている。

内的妥当性とは、「ある介入をしたから症状がよくなった」というような、介入に対する効果、その因果関係が確からしいことを指す。

たとえば「ランニングをしたから気分がよくなった」ということの因果関係が確からしければ、その内的妥当性は高いことになる。

ただし、気分がよくなったのは人間関係が変化したからだったり、特別なイベントがあったからだったりするかもしれない。

それらの可能性を排除し切れていない研究は、内的妥当性が高いとはいえない。

 

ただ、しっかりとデザインされた「ランダム化比較試験」による研究であれば、内的妥当性の高さは担保されているはずだ。

しかし「ランダム化比較試験だから」といって、批判的吟味を欠いてはならないこともまた留意すべき点である。

 

さらに本書によると、日本語論文のほとんどは「観察研究」であり、そのエビデンスの質は低いとのこと。

なので質の高いエビデンスをつかうには、必然的に「ランダム化比較試験」によって研究が行われている英語の論文を読むことになるだろう。

 

2-4. 当のクライエントにエビデンスを適用する

質の高い論文を探し出せたら、それをクライエントや自分に対して適用していこう。

クライエントの背景、価値観、好みなどをよく聞いた上で、エビデンスを適用していくことが「エビデンスに基づく実践」である。

 

論文ベースでアウトプットをしたい

以上が「エビデンス・ベイスト・プラクティス入門」の概要だ。

論文を読めるようになれば、インプットの質が高まり、その結果自然とアウトプットの質も高くなるはず。

本書では論文を使い倒す方法が詳細に記されているので、興味があればぜひ手に取ってみてほしい。


心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門―エビデンスを「まなぶ」「つくる」「つかう」

 

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